8月のロンドンとストッキングの話
8月のロンドンは、もう夏ではない。もちろん、現地では夏のカテゴリーに入っているわけだけれど、気候は完全に日本の9月後半の秋みたいな感じだ。寒いし、みんな少しずつ風邪をひく。
話によれば、みんな口を揃えて、9月になるとサンシャインになるよと言うのだけれど、どういう理由で、また天気が回復するのだろう。
本当にサンシャインになるのか、乞うご期待である。
それにしてもストッキングの話である。
現地でストッキングを買うと高いかもしれないと思って、けっこう何枚もストッキングを買ってきた。オフィスで履くあの、薄いストッキングである。女子達があのストッキングにどれだけ気をつかっているか、男性諸君はおそらく知らない。
買ったばかりのおろしたてにもかかわらず、朝履いた瞬間にぴっと親指で伝線した際の、きぃーっと頭に血がのぼる瞬間を彼らは知らない。
無事に履けて会社に行ったにもかかわらず、後ろのふくらはぎに一本ぴーっと線が入っているのを、会社の人に教えて貰うあのやるせなさを彼らは知らない。
雨の日になると、黒靴が染みて、ベージュ系のストッキングの足先だけ黒くなるのだ。これはすぐに捨てるべきか、少し履き古すか迷うところだ。
ものの本ではストッキングを新調することで、女性らしさを取り戻し、モテるとまで書いてある。
それくらい、あのシルク系のストッキングって女子的なものなのです。
男性の目を意識した足を美しくみせるシルクのストッキングってわけですね。
それが、ここ数ヶ月ずっとストッキングを履いてないで暮らしている。使ったと言えば、ふくらはぎから下スタイルのやつを、銀行回りでスーツを着た際に履いただけだ。
夏だけでなく、ほとんど秋模様の8月の今でさえ。そもそも私はスカートを履いてないというのもある。そう、忙しくてワイドパンツに靴下という服装がメインだった。だから適当にほいほいと入れて持ってきた靴下が意外と役にたっている。
それどころか、現地で靴下を買って貰ったほどだ。コモンに。(やはり、M&Sブランド)
しかし、これは私ばかりではない。こちらの女子達もあのストッキングを履かないのである。
隣のかわいいJちゃんでさえ、女子の私がキュンキュンとしてしまうJちゃんでさえ!、ブルーのスカーフを巻いたロンドンオシャレのJちゃんでさえ!!履いてない。
じゃあ、何を履いているかといえば、素足なのだ。生足にパンプス、生足に靴、なわけである。ロンドン女子。生足にサンダルはわかるけど、これは、日本人とは全くちがう。
セクシーというか、健康的な感じである。
そう、確かに、あのストッキングという代物は窮屈といえは窮屈ですものね。その窮屈さでセクシーさを出してるといえばそうなのかもしれないけど。
それ以外の女の子といえば、黒いタイツを履いている。タイツにミニスカートとかです。そこはやはり寒さすら感じるロンドンの8月。黒タイツで全くいけるわけです。
そんなわけで、私のロンドンライフは靴下と黒タイツでしめている。
確かに私の働いているロンドンは、シティの方ではない。だから、シティの女性軍はもしかしたらストッキングを履いているのかもしれない。お休みの日のシティで、ストッキング女子はやはり見かけないと思うけど(少なくともきみ的の目には)、ワーキングデイのシティの事情は知らない。
でも、黒タイツもたっぷり補充してきてよかったな。難といえば、たまに厚手のやつで履き心地がイマイチなものがあるのを無理やり履いている日もあることくらいである。
そして、黒タイツくんって、伝線しなくて長持ちなんですよね。だから当分、履き心地悪くてもつきあいは続くとみた。何せ、寒くなるのはこれからなロンドンである。
それでも、車のブレーキを踏む時履き心地って大事なんだよね、ほんとに。
ストッキングより、履き心地の良い黒タイツを、これがロンドン教訓です。
きみちゃんでした。