スペインでチュロスを食べて歩いてはいけない。
スペインのお菓子といえば、チュロスである。
みなさん、知ってましたか?
もちろん、私は今回スペイン旅行をして初めて知ったわけだけれども。
チュロスっておいしいですよね。
何本ものゆるやかな波型の曲線に、カリッとしていて、ほどよく甘くて。私のチュロスデビューは山形の駅前のミスタードーナツだったのか、東京ディズニーランドだったか、忘れてしまったけれど。あのドーナツなのに、硬くて甘い曲線、並びに口への運び易さは、粋だねと思ったものです。
ディズニーミッキーの耳を見ながら、歩いてでも食べられる。
しかし、そんなチュロスは、日本のやつで、発祥スペインのチュロスはちょっと違う。
歩いてたべるものではない。
まず、そもそも、甘くない。
少なくともマドリードの王宮の喫茶ルームで食べたチュロスは、甘くなく、しょっぱかった。そして、とても油で揚げてある。
そうです、スペインのチュロスは、完全に油で揚げていて、そして、硬くない。あの形のオールドファッションのドーナッツを想像して下さい。
それは、砂糖をかけられない場合、しょっぱいものなのである。
「ラ・パジャレサ」はスペインバルセロナで1947年から続くカフェです。日本のガイドブックにも沢山紹介されているし、たぶん、海外のガイドブックにも沢山紹介されている。お店にいると、韓国人カップルやフランス人の若者男子三人組や、日本人の男子一人旅などが入ってきた。そしてみんなほとんど同じように、写真のチュロスとホットチョコレートを頼むわけである。
地元の人は、他のパンも頼んでいたようだったけれど、ほとんどのテーブルがこの組合せを注文する。
正確にいえば、写真はクリームホットチョコレートなので、みんなはクリーム抜きのホットチョコレートを頼んで、チュロスにホットチョコレートをつけて、口の周りを黒くするのを気にしながら食べていた。
チュロスを頼むのであれば、専門店であるべきだというネット情報を見たけれど、確かにそれは間違いないと思う。
マドリード王宮でがっかりしたチュロスだったけれど、ここの揚げたての熱々のカリッとふわっとしたのに砂糖をまぶしてあるチュロスは、幸せな気持ちにさせてくれます。カカオのホットチョコレートは、砂糖をほとんど入れてなく、逆に甘くなく、自分で砂糖を入れて調整する。
生クリームも、もちろん甘くなかった。
きちんと、チュロスの甘さとのバランスを考えているからだと思う。
店には、給仕とレジとして、四人の屈強なおじさんが、白Yシャツでお客のチュロス要求を対応している。
甘いお菓子を真面目な顔したおじさんというか、おじいさんが対応するっていいですよね。真剣味があります。若いちゃらちゃらした女の子が給仕してくれるより、お店を守ってきた感が伝わります。ずっと。
このチュロス、二人で頼むであれば、最初は一人前とすることをおすすめします。油で揚げているので、どしんと胃にたまり、かつ、カカオチョコレートが胃を満たしてしまいます。
フランス若者三人組も、一人一皿頼んでいたけど、最初の注文時より食べていくと、無口でなんとなく元気がなくなっていったような気がする。ただ男子三人組の旅ってそんなに会話しないものなのかもしれないけど。
それにしても他のテーブルで、孫の女の子が口とカップをチョコでベタベタしているのを、おじいちゃんが本当に目に入れても痛くない的に、にこにことしながら孫を携帯で写真を撮ったり、一緒にチュロスにチョコをつけて食べている様子は微笑ましかった。
地元で近所に住んでいる女の子が、ねぇねぇ、おじいちゃん、チュロス食べに行こうよと誘っている様子を想像すると心があたたまります。
スペイン人は大人になるとあまりチュロスを食べなくなるとこれもネットでみたけれど、おじいちゃんも、孫から誘われて昔のあのチュロスの味をまた味わいにいっているという流れはあるかもしれない。
スペインのチュロスは座ってチョコをつけて、ゆっくりとたべるのです。
きみちゃんでした。